チベット・オーラル・ヒストリー・プロジェクト(TOHP) では、チベットの人々の文化・言語・歴史を詳細に記録し、保存し、広く伝えるために、チベット難民が語るチベットの記憶を撮影しています。年長者によるチベットの知恵や真実の歴史は、占領軍によって抹消されることなく、必ずや後世に伝えられることでしょう。

TOHPはダライ・ラマからの要請に応えて2003年に設立されました。ダライ・ラマは、中国の侵略によって祖国から逃れざるをえなかった年長者たちの記憶が永遠に失われてしまう前に、一刻も早く彼らにインタビューをし、その内容を残さなければならないと力説していました。チベット内であればインタビューは中国に禁じられるところですが、チベットの外にいる亡命者であれば、直接話を聞くことができます。その結果、TOHPでは中国によるチベットへの侵攻と占領に関する歴史的に重要な証言、および、今や中国当局により制限されているチベットの文化的、宗教的な習慣を記録することができました。

語り手となったのは、チベット全域から逃れ、その多くがインドで難民として暮らす様々なバックグラウンドを持ったチベットの人々、120人です。このオーラル・ヒストリー・コレクションは非常に貴重です。占領されていない自由なチベットに暮らした最後の世代である年長者を生き生きと描き、彼らの祖国の記憶を後世のために保存します。チベットの語り手は、チベットでの子供の頃の体験、文化的、宗教的な伝統、中国侵攻やチベット占領の影響、亡命に追いやった境遇、そして、彼らがどのようにして肉体的にまた精神的に生き延びたのかを語ってくれます。

私達の努力はダライ・ラマ、チベット議会、内閣、チベット組織に奨励され、支持されてきました。アメリカ合衆国国会図書館は、TOHPが現在そして将来保有するオーラル・ヒストリー・コレクションを世界中の人が何世代にも渡って視聴できるように、国会図書館で永久に残るアーカイブとして保管することをTOHPに要請しました。

TOHPによるインタビューの書き起こし、ビデオ、その他の情報はホームページwww.tibetoralhistory.orgでご覧いただけます。

また、MEMOROではTOHPとのコラボレーションにより、順次、TOHPによって撮影されたチベットのオーラルヒストリーを、当該チベット・オーラルヒストリー・プロジェクトページ内の「記憶」「語り手」タブにて公開していきます(動画はチベット語/英語字幕)。さらに、チベットの人々が語るチベットの文化、風習、歴史、体験談などのインタビュー映像の投稿も受け付けています。投稿は、こちらから行っていただけます。